2012年1月16日

イレイザーヘッド(ERASERHEAD)、1977年、アメリカ


イレイザーヘッド(ERASERHEAD)、1977年、アメリカ

この作品については
コメントを書くべきかどうか
普通にためらってしまう

海外ドラマの火付け役でもあった
ツインピークス」では
猟奇的で不可解
どことなく浮遊感のある
非現実的な世界に圧倒され、

ブルーベルベッド」では
退廃的で
暴力とエロティシズムの世界に
見るものをも引きずり込む

常に
“普通”とは異なる
目で、耳で、
どこか、違和感というものを
見分け、聞き分け

あるいは脳で直接感じざるをえない
映像体験に近い
そんな作品を生み出す
デヴィッド・リンチ(David Lynch)

製作・監督・脚本・編集・美術・特殊効果
を全て一人で努めた長編映画デビュー作

一般の映画好きの方は
見ない方がよいかもしれません
覚悟してみるべき映画です

ホラーやカルト系の映画が好きな方には
傑作と呼べる作品かもしれません


u-san<0点:一般の人向け><79点:マニア向け>

イレイザーヘッド

死への恐怖ではなく
生への恐怖を
描いた作品ではないだろうか

社会全体が不安というよどみの中に
埋もれ、決して抜け出すことはできない
そのことにすら気づくことのできない
閉塞した社会
まさに、現代社会を誇張し、

もし、抜け出すことができるとすれば、
それは妄想の精神世界だけ
主人公ヘンリーを演じたジャック・ナンスMarvin John Nanceは、
この作品を機に不可解な人生を送ることになる


命というものの不可解さ
性への恐怖と倒錯

人間がつくりあげてきた
命の尊さ
遺伝という名の
受胎という名の
性がつなぐ不可思議な現象

それらを
見事に、そして
いびつに描き出している

若かりしデヴィッド・リンチの世界

現実と逃避
その
ゆがみきったいびつな世界
奇妙そのもの=違和感こそが
魂の根源である
とでも言おうとしているかのような

しかし、
実はいびつで
これ以上にゆがんでいるのは
現実の方なのかもしれない

In Heaven everything is fine/David Lynch

元来、人間が持っている
生に対する
得も言われぬ不安
そして
快楽と引換の不安
というものを

誰も見ようとしない
足を踏み入れようとしない
語ろうとしない
領域から
見事に引きずり出している

デヴィッド・リンチの恐るべき処女作
彼が鬼才と呼ばれる所以は
ここにある


イレイザーヘッド(ERASERHEAD)、1977年、アメリカ
監督・脚本:デヴィッド・リンチ(David Lynch)
主演:ジャック・ナンス(Marvin John Nance)

この作品で、デヴィッド・リンチは
製作・監督・脚本・編集・美術・特殊効果を一人で制作・監修し、
そのほかの製作チームの5人と共に、
個人資金と5年の歳月をかけて完成させた映画だそうです。






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